産業廃棄物の適正処理


第1  廃棄物の種類等


1  廃棄物とは

  「廃棄物」とは、法律により、「ごみ、粗大ごみ、燃え殻、汚泥、ふん尿、廃油、廃酸、廃アルカリ、動物の死体その他の汚物又は不要物であって、固形状又は液状のもの(放射性物質及びこれによって汚染された物を除く。)」と定義されています。
  この廃棄物であるか否かの判断については、その物の性状、排出の状況、通常の取扱形態、取引価値の有無及び占有者の意思等を総合的に勘案して判断する、いわゆる総合判断説がとられています。ただし、次のものは法律の対象となる廃棄物ではありません。
    (1)港湾、河川等のしゅんせつに伴って生ずる土砂その他これに類するもの
    (2)漁業活動に伴って漁網にかかった水産動植物であって、当該漁業活動を行った現場付近において排出したもの
    (3)土砂及び専ら土地造成の目的となる土砂に準ずるもの


2  廃棄物の分類

  廃棄物は法律上「一般廃棄物」と「産業廃棄物」の二つに分類されており、産業廃棄物とは、事業活動に伴って排出される、がれき類、汚泥、廃プラスチック類などで、3に掲げる廃棄物をいいます。ここでいう「事業活動」とは製造業や建設業等に限定されるものではなく、オフィス、商店等の行う商業活動や地方自治体、学校等の公共活動も含めた広義の概念として捉えています。
  一般物廃棄とは、産業廃棄物以外の廃棄物をいい、主に家庭から排出される生ごみや粗大ごみ、オフィスから排出される紙くずなどで、各市町村がそれぞれの廃棄物処理計画に従い、収集・運搬し、及び処分することとされています。
  なお、事業者は一般廃棄物と産業廃棄物の区分にかかわらず、その事業活動に伴って生じた廃棄物を自らの責任において適正に処理しなければなりません。

分類

    〈放射性物質特措法関係〉

  平成23年 3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震に起因する放射性物質に汚染された廃棄物については、その発生地域、放射能濃度等により特定廃棄物、特定一般廃棄物・特定産業廃棄物に区別されます。特定廃棄物は放射性物質特措法の処理基準に基づき国において処理を行いますが、特定一般廃棄物・特定産業廃棄物は自治体や処理業者等が法律の処理基準に加え、同特措法で定める処理基準に従って処理を行う必要があります。

放射性物質特措法関係
※放射性物質特措法における廃棄物の分類及び処理基準の詳細については、廃棄物関係ガイドライン(環境省作成)を参照してください。



    〈 凡  例 〉

  法律・・・廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和45年法律第137号)
  政令・・・廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令(昭和46年政令第300号)
  省令・・・廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則(昭和46年厚生省令第35号)
  条例・・・廃棄物の適正な処理の促進に関する条例(平成15年愛知県条例第2号)
  放射性物質特措法・・・平成二十三年三月十一日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う原子力発電所の事故により放出された放射性物質による環境の汚染への対処に関する特別措置法(平成23年法律第110号)
  PCB特措法・・・ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法(平成13年法律第65号)


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3  産業廃棄物の種類

  産業廃棄物は、事業活動に伴って生じた廃棄物のうち次の20種類と、「輸入された廃棄物」です。
区分種  類具    体    例













  1  燃え殻石炭殻、焼却炉の残灰、炉掃除排出物、その他の焼却残さ
  2  汚  泥排水処理後の泥状のもの、各種製造業の製造工程で排出された泥状のもの、活性汚泥法による余剰汚泥、凝集沈殿汚泥、ビルピット汚泥、カーバイトかす、ベントナイト汚泥、キラなど
  3  廃  油鉱物性油、動植物性油、潤滑油、絶縁油、洗浄用油、切削油、タールピッチなど
  4  廃  酸写真定着廃油液、廃硫酸、廃塩酸、各種の有機廃、廃ホルマリンなどすべての酸性廃液
  5  廃アルカリ写真現像廃液、廃ソーダ液、金属せっけん液などすべてのアルカリ性廃液
  6  廃プラスチック類合成樹脂くず、合成繊維くず、合成ゴムくず(廃タイヤを含む。)などすべての合成高分子系化合物、石綿を含むPタイル
  7  ゴムくず天然ゴムくずなど
  8  金属くず鉄くず、非鉄金属くず、切削くず、ダライ粉、溶接かすなど
  9  ガラスくず、コンクリートくず(工作物の新築、改築又は除去に伴って生じたものを除く。)及び陶磁器くずガラスくず、コンクリートくず(工作物の新築、改築又は除去に伴って生じたものを除く。)、耐火レンガくず(工作物でないもの)、陶磁器くず(石綿を含む石膏ボード等)など
  10  鉱さい鋳物廃砂、高炉・平炉・電気炉などの溶解炉のかす、キューポラのノロ、ボタ、不良石炭、粉炭かすなど
  11  がれき類工作物の新築、改築又は除去に伴って生じたコンクリートの破片、レンガの破片、アスファルトの破片、石綿を含むコンクリートの破片、その他にこれに類する不要物
  12  ダスト類
    (ばいじん)
大気汚染防止法第2条第2項に規定するばい煙発生施設、ダイオキシン類特別措置法第2条第2項に規定する特定施設、又は汚泥などの産業廃棄物の焼却施設において発生するばいじんであって、集じん施設によって集められたもの

区分種  類具    体    例












  13  紙くず建設業に係るもの(工作物の新築、改築又は除去に伴って生じたものに限る。)、パルプ製造業、紙製造業、紙加工品製造業、新聞業(新聞巻取紙を使用して印刷発行を行うものに限る。)、出版業(印刷出版を行うものに限る。)、製本業及び印刷物加工業から生ずる紙くず、並びにPCBが塗布され又は染み込んだもの(注)
  14  木くず建設業に係るもの(工作物の新築、改築又は除去に伴って生じたものに限る。)、木材又は木製品製造業(家具製造業を含む。)、パルプ製造業、輸入木材卸売業及び物品賃貸業から生ずる木くず、貨物の流通のために使用したパレット(パレットへの貨物の積付けのために使用したこん包用の木材を含む。)(注)に係る木くず並びにPCBが染み込んだもの(注)
  15  繊維くず建設業に係るもの(工作物の新築、改築又は除去に伴って生じたものに限る。)、繊維工業(衣服その他の繊維製品製造業を除く。)から生ずる木綿くず、羊毛くず等の天然繊維くず並びにPCBが染み込んだもの(注)
  16  動植物性残さ食料品製造業、医薬品製造業、香料製造業から生ずるあめかす、のりかす、醸造かす、発酵かす、魚・獣のあらなど
  17  動物系固形不要物と畜場においてとさつし、又は解体した獣畜及び食鳥処理場において食鳥処理をした食鳥に係る固形状の不要物
  18  家畜ふん尿畜産農家から排出される牛、馬、豚、めん羊、山羊、ニワトリなどのふん尿
  19  家畜の死体畜産農家から排出される牛、馬、豚、めん羊、山羊、ニワトリなどの死体
  20  13号廃棄物1から19までの産業廃棄物を処分するために処理したもので、それらの産業廃棄物に該当しないもの(有害汚泥のコンクリート固形化物など)
  (注)貨物の流通のために使用したパレットとPCBが塗布され又は染み込んだものについては、業種の限定はありません。

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4  特別管理産業廃棄物の種類

  産業廃棄物のうち、爆発性、毒性、感染性その他の人の健康又は生活環境に係る被害が生ずるおそれのある性状を有するものは、特別管理産業廃棄物として別に定められており、その種類及び内容は次のとおりです。
  特別管理産業廃棄物は、排出されてから処理されるまでの間、常に注意して取り扱うこととされており、排出事業者に対しては、特別管理産業廃棄物管理責任者の選任など、通常の産業廃棄物と比べ特別な管理及び処理方法が義務付けられています。

区分種  類具    体    例









引火性廃油産業廃棄物である揮発油類、灯油類、軽油類(引火点が70℃未満の廃油)
腐食性廃酸水素イオン濃度指数(pH)が2.0以下の廃酸
腐食性アルカリ水素イオン濃度指数(pH)が12.5以上の廃アルカリ
感染性産業廃棄物医療機関等から排出される、血液、使用済みの注射針などの、感染性病原体を含む又はそのおそれのある産業廃棄物









特定有害廃PCB等廃PCB及びPCBを含む廃油
特定有害PCB汚染物紙くずのうちPCBが塗布され、又は染み込んだもの、汚泥・木くず又は繊維くずのうちPCBが染み込んだもの、廃プラスチック類又は金属くずのうちPCBが付着し、又は封入されたもの、陶磁器くず又はがれき類のうちPCBが付着したもの
特定有害PCB処理物廃PCB等又はPCB汚染物を処分するために処理したもの(省令で定める基準に適合しないものに限る。)
特定有害廃石綿等建築物その他の工作物から除去した飛散性の吹き付け石綿、石綿含有保温剤及びその除去工事から排出されるプラスチックシートなどで石綿の付着しているおそれのあるもの、大気汚染防止法の特定粉じん発生施設を有する事業場の集じん施設で集められた飛散性の石綿など

特定有害指定下水汚泥
特定有害鉱さい
特定有害ダスト類
 (ばいじん) 
特定有害燃え殻
特定有害廃油
特定有害汚泥
特定有害廃酸
特定有害廃アルカリ

政令別表で定める施設などから発生し、カドミウム、シアン、有機燐、鉛、6価クロム、砒素、水銀、PCB、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、ジクロロメタン、四塩化炭素、1,2-ジクロロエタン、1,1-ジクロロエチレン、シス−1,2-ジクロロエチレン、1,1,1-トリクロロエタン、1,1,2-トリクロロエタン、1,3-ジクロロプロペン、チウラム、シマジン、チオベンカルブ、ベンゼン、セレン、ダイオキシン類などの有害物質を含んでおり、その溶出試験又は成分試験の数値が判定基準を超えるもの。

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