産業廃棄物の適正処理


第3  処理業の許可等


1  処理業の許可

  産業廃棄物処理業には
産業廃棄物収集運搬業
産業廃棄物処分業
特別管理産業廃棄物収集運搬業
特別管理産業廃棄物処分業
の4種類があります。
  許可の有効期間は原則5年間です。更新許可の審査に要する時間は、処分業は3ヶ月、収集運搬業は2ヶ月ですので、許可期限切れにならないよう注意が必要です。

(1)許可を行う者

  産業廃棄物(特別管理産業廃棄物)の収集運搬又は、処分を業として行おうとする者は、業を行おうとする区域を管轄する都道府県知事又は、政令市長の許可を受けなければなりません。
許可区分   収集運搬については、収集する区域、運搬先の区域又は積替え・保管施設のある区域を管轄する知事又は政令市の市長の許可が必要ですが、運搬の途中で通過するだけの区域については許可は不要です。また、原則として一の政令市を越えて収集運搬の業を行う場合は、県知事の許可となりますが、政令市において積替え保管施設を設置する場合は、当該市長の許可も必要となります。
  処分については、中間処理施設や最終処分場のある場所の県知事の許可が、政令で定める市の区域内であれば当該市長の許可が必要です。

(2)許可の基準

  許可を申請しようとする者は、次の内容に適合していなければなりません。

  ア  事業の用に供する施設及び申請者の能力が、その事業を的確に、かつ
       継続して行うに足りるものとして政令又は省令で定める基準に適合する
       ことが必要です。

     (a) 施設に係る基準
  産業廃棄物(特別管理産業廃棄物)収集運搬業に係る運搬施設又は積替施設、産業廃棄物(特別管理産業廃棄物)処分業に係る中間処理施設、最終処分場の施設が法律の定める基準に適合している必要があります。
(b) 申請者の能力に係る基準
  事業を的確に行うに足りる知識及び技能を有し、事業を的確に、かつ、継続して行うに足りる経理的基礎を有していることが必要です。その内容は次のとおりです。
  知識及び技能
  事業を的確に行うに足りる知識及び技能を有するためには、次の者が申請に対応した許可講習会を修了していなければなりません。
1   申請者が法人である場合は、その代表者若しくはその業務を行う役員又は業を行おうとする区域に存する事業場の代表者で契約締結権限のある者
2   申請者が個人である場合は、当該者又は業を行おうとする区域に存する事業場の代表者

  経理的基礎
  事業を的確に、かつ、継続して行うに足りる経理的基礎を有するかどうかは、次の書類により審査します。
1   事業の開始に要する資金の総額及びその資金の調達方法を記載した書類
2   直前3年の決算期の貸借対照表、損益計算書、株主資本等変更計算書、個別注記表、法人税の納付すべき額及び納付済額を証する書類
3   直前3年の決算期の確定申告書の写し
4   金融機関の預金の残高証明書、融資証明書等の資金を確保することができることを証する書類
5   収支計画書に基づき中小企業診断士が作成した経営診断書
  
  ただし、5については提出が不要な場合(@直前3年の決算期の経常利益金額等(経常利益+減価償却費、以下同じ)の平均値がプラスであること、A直前の決算期において経常利益金額等が計上されていること、B直前の決算期において自己資本比率が1割以上であること、の全てを満たしている場合など)があります。

  イ  申請者が次の項目(欠格条項)に該当する場合は、許可を取得すること
       はできません。

1   成年被後見人若しくは被保佐人又は破産者で復権を得ない者
2   禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終り、又は執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者
3   廃棄物処理法、浄化槽法、大気汚染防止法、騒音規制法、海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律、水質汚濁防止法、悪臭防止法、振動規制法、特定有害廃棄物等の輸出入等の規制に関する法律、ダイオキシン類対策特別措置法、ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法若しくはこれらの法令に基づく処分若しくは暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律の規定に違反し、又は刑法に規定する傷害罪、傷害現場助勢罪、暴行罪、凶器準備集合・結集罪、脅迫罪、背任罪若しくは暴力行為等処罰に関する法律の罪を犯し、罰金の刑に処せられ、その執行を終り、又は執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者
4   一般廃棄物処理業の許可、産業廃棄物処理業の許可、特別管理産業廃棄物処理業の許可又は浄化槽清掃業の許可を取り消され、その取消しの日から5年を経過しない者(当該許可を取り消された者が法人である場合においては、当該取消しの処分に係る行政手続法による通知があった日前60日以内に当該法人の役員(業務を執行する社員、取締役、執行役又はこれらに準ずる者をいい、相談役、顧問その他いかなる名称を有する者であるかを問わず、法人に対し業務を執行する社員、取締役、執行役又はこれらに準ずるものと同等以上の支配力を有するものと認められる者を含む。)であった者で当該取消しの日から5年を経過しない者を含む。)
5   一般廃棄物処理業の許可、産業廃棄物処理業の許可、特別管理産業廃棄物処理業の許可又は浄化槽清掃業の許可の取消しの処分に係る行政手続法による通知があった日から当該処分をする日又は処分をしないことを決定する日までの間に一般廃棄物処理業若しくは産業廃棄物処理業のいずれかの事業の全部の廃止の届出又は浄化槽法による廃業等の届出をした者で、当該届出の日から5年を経過しない者
6   5の規定期間内に一般廃棄物処理業の許可、産業廃棄物処理業の許可若しくは特別管理産業廃棄物処理業の許可の事業のいずれかの事業の全部の廃止の届出又は浄化槽法による廃業等の届出があった場合において、5の通知の日前60日以内に当該届出に係る法人(当該事業の廃止について相当の理由がある法人を除く。)の役員若しくは政令で定める使用人であった者又は当該届出に係る個人(当該事業の廃止について相当の理由がある者を除く。)の政令で定める使用人であった者で、当該届出の日から5年を経過しない者
7   その業務に関し不当又は不誠実な行為をするおそれがあると認めるに足りる相当の理由がある者
8   暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律第2条第6号に規定する暴力団員(以下「暴力団員」という。)又は暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者(以下「暴力団員等」という。)
9   営業に関し成年者と同一の能力を有しない未成年者でその法定代理人が1から8までのいずれかに該当する者のあるもの
10   法人でその役員又は政令で定める使用人のうちに1から8までのいずれかに該当する者のあるもの
11   個人で政令で定める使用人のうちに1から8までのいずれかに該当する者のあるもの
12   暴力団員等がその事業活動を支配する者
  
  6の政令で定める使用人とは、@本店又は支店(商人以外の者にあっては、主たる事務所又は従たる事務所)、A@のほか、継続的に業務を行うことができる施設を有する場所で、廃棄物の収集若しくは運搬又は処分若しくは再生の業に係る契約を締結する権限を有する者を置く施設の代表者であるものをいいます。


2  処理業者の責務

(1)処理基準の遵守義務

  処理業者が業として産業廃棄物(特別管理産業廃棄物)の処理を行う場合には、事業者と同様に政令の定める産業廃棄物(特別管理産業廃棄物)の処理基準に従わなければなりません。

(2)再委託の禁止

  処理業者は、委託を受けた産業廃棄物(特別管理産業廃棄物)の処理を原則として他人に再委託してはなりません。やむを得ず再委託する場合は、あらかじめ排出事業者の承諾を得るとともに再委託基準を遵守しなければなりません。

(3)名義貸しの禁止

  処理業者は、自己の名義で他人に産業廃棄物又は特別管理産業廃棄物の処理を業として行わせてはなりません。

(4)マニフェストの管理

  処理業者は、排出事業者が交付するマニフェストの回付、保存等について、適正に管理しなければなりません。また、マニフェストの交付を受けることなく、廃棄物を引き受けることはできません

(5)条例による測定結果等の記録、保存及び閲覧

  処理業者は、その事業の用に供する施設で処理される廃棄物の種類や量、関係各法及び条例で規定されている事項の測定結果などを記録し、その後3年間保存するとともに、利害関係者から閲覧請求があればそれらの記録を開示しなければなりません。

(6)処理が困難になった場合の委託者への通知

  処理業者は、受託した廃棄物を適正に処理することが困難になった場合、10日以内にその旨を委託者に通知するとともに、その通知を5年間保存しなければなりません。
  通知を受けた者は生活環境保全上の支障の除去又は、発生防止のために必要な措置を講ずるとともに、通知を受けた日から30日以内に知事に報告しなければなりません。



3  処理業者が備え付けるべき帳簿

  処理業者は、産業廃棄物(特別管理産業廃棄物)の処理を記載した帳簿を事業場ごとに備え付けなければなりません。この帳簿は、1年ごとにまとめ、その後5年間事業場ごとに保存しなければなりません。
処理区分 記  載  事  項
収集又は運搬
@   収集運搬又は運搬年月日
A   交付されたマニフェストごとのマニフェスト交付者の氏名又は名称、交付年月日、交付番号
B   受け入れ先ごとの受入量
C   運搬方法及び運搬先ごとの運搬量
D   積替え、保管を行う場合は、その場所ごとの搬出量
運搬の委託
@   委託年月日
A   受託者の氏名又は名称、住所、許可番号
B   交付したマニフェストごとの交付年月日、交付番号
C   運搬先ごとの委託量
処  分
@   受入又は処理年月日
A   交付又は回付されたマニフェストごとのマニフェスト交付者の氏名又は名称、交付年月日、交付番号
B   受け入れた場合は受け入れ先ごとの受入量
C   処分した場合は処分方法ごとの処分量
D   処分(埋立処分、海洋投入処分を除く。)後の廃棄物の持出先ごとの持出量
処分の委託
@   委託年月日
A   受託者の氏名又は名称、住所、許可番号
B   交付したマニフェストごとの交付年月日、交付番号
C   交付したマニフェストごとの交付又は回付された受け入れた産業廃棄物に係るマニフェストの交付者の氏名又は名称、交付年月日、交付番号
D   交付したマニフェストごとの受け入れた産業廃棄物に係る電子マニフェストの使用による通知に係る処分を委託した者の氏名又は名称及び登録番号
E   受託者ごとの委託の内容、委託量


ページ先頭へ戻る